セメントなし石積の修復 - 庭屋ながい

セメントなし石積の修復

こんにちは!愛知県を中心にお庭のリフォームや新築の庭工事をやっている『庭屋ながい』代表の長井です。今回の記事は愛知県岡崎市M様邸での石積み修復の記録です。

この石積みは100年以上前からあったものですが、上部にある土砂が崩れてきた際に壊れてしまったという事で、元ある石を再利用して修繕してほしいとご依頼を頂きました。

石積自体の損傷は酷く、ほぼ土砂の下敷きになっていました。

土砂

まずは土砂を搬出し、既存の石を掘り出して集めることからスタートです。場所が建物の裏手だったために、通路の確保が困難で一輪車一台が入れるほどしかスペースが在りませんでした。

幸いお隣さんのご協力のおかげで重機を入れることができ何とか作業を進められました。

ここでの石積みのやり方はセメントを使わない「空積み(カラヅミ)」と呼ばれる技法での作業です。  この空積みは日本のお城の石垣や、田舎の棚田などにもよく見られる技法です。
石の重さと摩擦力によって強度を出します。

今回は既存の石積みとの柄合わせや、つなぎ部分が難しく、強度をましてさらに美しく積むことを心がけました。今回の石積みの石の種類としては、泥の中からせっせと掘り出してみると、地元愛知県の三河地区の土中から発見されるタイプの石で、川石のような丸みのある石や、角ばった層の石、色も様々でいくつもの種類の混ざったものが出てきました。

石積み完成!

石積みの左端には水が出ています。
上から水路を伝って流れていた水が湧いてきていたので、石積の中を伝わせて排水経路を確保しました。

色味も面白い石積みになりお施主様も大満足いただけて嬉しいかぎりです。
土砂にまみれた現場を見たときはどうなる事かと不安もよぎりましたが予想を超えるいい空気が漂う場に変わり一安心です。これからもお庭のことならいかなる状況も対処していきたいと思います。